火の玉の行列

洒落怖(361-370)

概要

「5ちゃんねる」の「死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?370」に掲載されていた話です。

本文

223本当にあった怖い名無し2022/07/20(水) 22:19:40.42ID:XmUh7av90
同期の話

当時、関西勤めだった彼は夏休みにクルマで古里に帰る事にした。
渋滞を避けて遅くに家を出たつもりだったが、誰もが考える事は同じで夜分にも関わらず帰省渋滞に
巻き込まれ道のりは遅々として進まなかった。
スカスカの対向車線を眺めながらも夜半すぎ、やっとまわりの交通量も減ってきた頃、彼のクルマは
彼の古里に向かう山の高速道路に差し掛かっていた。

もうこれからは自分のペースでゆっくり帰ればいい。

運転中とはいえ少し心に余裕が出来、廻りをゆっくり見渡す事が出来るようになった時、彼は
対向車線の交通量が妙に多い事に気づいた。
クルマやバイクのヘッドライトと頻繁にすれ違う。
「ウチの田舎、こんなに人居たっけ?」
だいたい地元民で帰省とは無縁な連中ばかりの筈だ。
余裕が出来ているのでかえって他人事が気になる。その時、彼は対向車線が異様に静かな事に気づいた。
窓を僅かに開けても聞こえるのは自車の走行音のみ。あのトラックもこの自家用車もバイクでさえも
すれ違う時に全く無音なのだ。
いや、そもそもライトの数や高さでバイクだトラックだ自家用車だ、と言っているだけでエンジン音や
車体のシルエットなどの実在感が一切無い。
良く見ると個々の灯火は前照灯として前を照らす
のではなく灯るだけで何も照らしていない。
「火の玉の行列だ。」
彼は運転しながらも肌が粟立つのを感じた。

『何で俺がこんな代物を見せつけられなきゃならんのだ?』

恐れを振り払う様に毒づきながらも彼はある事を思い出した、
『もうお盆の時期じゃないか 』
お盆、何百人ものタヒ者がでた誰もが忘れてはいけない傷ましい事故が起きた日だ。
相変わらず対向車線では火の玉の行列が彼とすれ違っている。彼の来し方、関西の方に向かって。
そう言えば彼の会社の見知らぬ先輩も犠牲になったとか、なんとか。
『そうか。あの火の玉、じゃない人魂さん達は【帰っている】ンだ。』
さっきのおちゃらけた憤りは消え、鼻の奥がツンとするのを感じた。

文章転載元

元スレ:https://mao.5ch.net/test/read.cgi/occult/1657119122/

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